現状や課題について

現在、小児在宅医療の対象となっている子どもの数は、増加傾向にあるといわれています。その理由として挙げられるのが、医療技術の向上です。医療技術が進歩したことにより、子どもの命が助かる確率が大きく上がっています。しかし、一方で日常的な医療ケアが必要な、重症心身障がい児が増えているのも実情です。こういった現状から、国では慢性的な疾患や障がいを持つ子どももストレスなく生活できるよう、小児在宅医療に関連した整備を前向きに進めています。また、近年では新生児の他、ある程度の年齢になって重症化した子どもに対しても、在宅医療を勧めるケースが増えてきているようです。さらに、「自宅で生活させてあげたい」という家族の要望も高まってきており、現状として小児在宅医療の必要性は増しているといえるでしょう。

一方、小児在宅医療ではいくつかの課題を抱えています。その1つが、小児在宅医療に対応できる医療機関や医師、および看護師の人材が足りていないことです。小児在宅医療の場合、高齢者を対象とした在宅医療と比較すると、診療報酬が低く設定されているといわれています。そのため、小児在宅医療に対応できる医療機関が少なく、それに伴って小児在宅医療に関する知識を持った看護師も不足するという事態に陥っているのです。また、小児在宅医療に関する制度が複雑化しており、在宅医療が安心して行えないという家族が多い現状もあります。このように、近年の小児在宅医療の現状や取り組みについて、しっかりと詳細を把握しておきましょう。